日高央の「今さら聴けないルーツを掘る旅」 vol.1

Vol.1 Theme: 「四つ打ち」

 
 
 あけましておめでとうございます、ザ・スターベムズのVo.日高央(ひだかとおる)です。タイトルの通り、音楽界や一般的には広く知られている音楽の、素朴な疑問を自分なりに取り上げて解説してみる連載を始めさせていただきます。よろしくお願いいたします!
 
 第一回目は、21世紀の今では耳にしない日はないんじゃないかという勢いの「4つ打ち(よつうち)」のルーツを考察してみたいと思います。「ドッチー・ドッチー…」でおなじみのリズムですが、素直に「4つ打ち」でウィキってみると、モータウン直系のエディ・ケンドリックスが始まりでは? とか、世間的にはアジカンぐらいからじゃない? と言われているようですが……俺に言わせて貰えば違います。ももクロとのコラボで広く宣伝されている、あの派手な男たち……そう、KISSが起源じゃないでしょうか!? 特に今日的な4つ打ちはっ!
 
 TVのジングル等でもおなじみの、1979年に発表されたKISSの名曲「ラヴィン・ユー・ベイビー(I Was made For Lovin’ You)」は、当時絶頂を迎えていたディスコ・ミュージックに対するロック側からの最良の返答であり、POPにアレンジし易いノリの良さ、キャッチーなメロディの乗せ易さもあいまって全世界的にヒットし波及。これ以降、バンドがダンス・ミュージックを意識する際に、4つ打ちが多用されるようになったような気がします。同じような現象はクラブ・シーンでも起こり、ある程度複雑なリズム・パターンを持っていたはずのハウスや2ステップも、結局4つ打ちに集約されるようになってしまいました……それほどまでに中毒性の高いKISS、いや「ラヴィン・ユー・ベイビー」及び4つ打ちのリズムは、やはり侮れません!
 
 しかしPUNKの歴史が証明したように「誰でも出来る」はキッズにとって心強いスローガンであると同時に、消費のスピードも物凄く速くなってしまいます。今後この4つ打ちがどのように変化・進化していくのか楽しみでもありますし、ミュージシャンとして自分的にどう料理・アレンジしていけるのか……皆で一緒に踊りながら試していきましょう。

 

地獄からの脱出 - Dynasty (24bit/192kHz)/Kiss

『地獄からの脱出(Dynasty)』

 
 

 
 
【日高央 プロフィール】
 
ひだか・とおる:1968年生まれ、千葉県出身。1997年BEAT CRUSADERSとして活動開始。2004年、メジャーレーベルに移籍。シングル「HIT IN THE USA」がアニメ『BECK』のオープニングテーマに起用されたことをきっかけにヒット。2010年に解散。ソロやMONOBRIGHTへの参加を経て、2012年12月にTHE STARBEMSを結成。2014年11月に2ndアルバム『Vanishing City』をリリースした。